赤星建築都市設計研究所は熊本を起点に住宅・店舗・リフォームから各種建築施設や街づくりまで広く設計デザインしています

下通アーケード234番街
開閉するボールド天井で風と光を採り込む

 熊本市の下通商店街は熊本城を背景に、公共交通ターミナルを結びながら連続する長大な商業モールです。

 1960年代の終わりから全天を覆うアーケードを設けて、歩行者天国を実施してきました。80年代末の全面建て替えを経ての改修となります。今回改修した新アーケードは幅15m、長さ360mに及びます。

 このアーケードは、3年前に当研究所で設計デザインした新天街アーケードに続く部分の改修工事で、2007年に実施した基本設計プロポーザルコンペで、上窪哲也建築計画事務所が設計者に選定されました。

 可能な限り天空面積を大きく、天井を高くすることで、光と風と開放感にあふれ、豊かな自然と潤いに満ちた公共空間にしたいと考えられました。


 当研究 所は、3年前に改修した新天街アーケードの実績のもとにアドバイザーとしてこのプロジェクトに参加しました。新天街アーケードは、熊本アートポリス推進賞の最終選考まで残りながら受賞できませんでしたが、こ のアーケードは、熊本アートポリス推進選賞を受賞しました。

 前回と同様に、アーケードに面する店舗の間口に応じて、ランダムに変化する既存の柱および主桁トラス梁、キャットウォークは補修して再利用しました。

 アーケード委員会への参加や現地調査などを繰り返し、警察や消防と協議しながら設計が進められました。 構造では、草場建築構造計画により横断梁と既存主桁を剛接合して立体ラーメンを構成し、架構全体の耐震性を強化しました。屋上の消防用足場と受変電設備はそのまま活用、アルミ屋根部は最小化し、ボールド形状の桁行方向2段スライド駆動方式のトップライトを実現しました。全開放時の開放部のスパンは28mに達します。


 軽さと明るさを重視したトップライトは、厚さ4oの半透明フロスト状ポリカーボネート板を採用し、通常アーケードに使われる材質よりも透過性の高いものになりました。

 暑さやヒートアイランド対策としてミスト発生装置を導入し、その駆動電力は、トップライト上の太陽光発電パネルで賄います。

 最も人通りの多い銀座通り交差部では、トップライトを透明とし、発電パネルを千鳥格子パターンに集約配置しました。結節点のにぎわいの演出を狙っています。


 照明デザインでは、熊本出身の松下美紀照明設計事務所により、時間や曜日、季節、イベントに応じたパターンを組み込んで、アーケード全体の夜景をLEDで演出しています。

 LED色はオリジナルのブルーグリーン近紫外LEDポイントライトで「森と水の都熊本」をイメージして開発されました。




 舗装デザインでは、ランドスケープデザインの景デザイン室が参画され、舗装に使われた石やタイルのパターンが決められて行きました。
 中央グレーゾーンは、緊急車両ゾーンでデザインに反映してあります。また、3・4番街にある植栽の周りにウッドデッキを敷き、その上にストリートファニチュアーが点在しています。4番街には、床からのミスト装置も付けられ、夏の期間は子供たちに好評です。


 人々の憩いの場となるストリートファニチュアーは、警察や消防と協議し、道路総務課との話し合いの結果、毎日出し入れする条件でようやく置けることになりました。

 各ベンチは、連結できるようになっており、イベントや状況に応じて移動、拡張が可能で商店街の様々な要望に対応した形状になります。

 ストリートファニチュアー最終図面は、FRP製作の正興工芸さんと一緒に当研究所でまとめ完成しました。休憩している人を見ると感無量です。どうぞ皆さん休憩に使って下さいね。


日経アーキテクチュア特別編集版 美しい屋根 2009年秋号










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