赤星建築都市設計研究所は熊本を起点に住宅・店舗・リフォームから各種建築施設や街づくりまで広く設計デザインしています

美里の家
〜豊かな自然に囲まれた木の住まい〜



●敷地形状に合わせた「くの字形」平面

  左図に示すように、シンプルな構成のものを北側道路と浜戸川沿いの敷地にあわせて南に

 開く形状にしました。それにより、太陽の光が建物全体に降りそそぐ上、店舗とプライベートの距離
 を確保できます。また、南に広く庭を持ち、近隣建物との距離を保ち、この先増築も可能です。

●光と風の通り道

  全体の中央に位置するパブリックスペースは、店舗スペースとプライベートスペースを、敷地の内と外を繋ぎ、
 人、風、光の通り道となります。一続きの広縁とパブリックスペースは、太陽光が降りそそぐひなたぼっこの

 舞台になります。

●フレキシブルなゾーニング

 ○店舗スペースとパブリックスペース

   店舗スペースと客間の間仕切りを開放すると、店舗スペースとパブリックスペースが一体 となり、

   機能の幅が広がります。また、客間を広縁や居間と一緒に使えます。

   必要に応じて 変化させ、適した空間を創造できます。

 

 ○プライベートスペース
  各寝室は、静かで落ちつく浜戸川沿いに配置しました。

  水廻り空間、ウォークインクローゼットの配置には、家事動線の短縮が計られています。

  長い天板の洗面台は洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたり、ちょっとした作業スペースになります。

  また、脱衣所を設けることで、入浴中でも小便器や便所への動線を確保できます。
  加えて、浴室から広縁に出て、涼むこともできます。

●ロフトからの眺望

 

 ロフトからは周りの山々を一望でき、窓を開ければ川の せせらぎが聞こえます。また、バルコニーからも美里の 山々の連なりを見渡せ、眺めも最高です。





 この住宅は、「太陽の光を浴び、風を感じ、自然を楽しみながら生活する場の提案です。

 敷地の隣に流れる浜戸川は、鯉をはじめとする多くの生き物が生息しており、近隣の子供たちから老人まで集う場になっています。

 川のせせらぎが耳に入る心地良い環境に加え、太陽の光が遮られることなく降りそそぎ、周りの山々の連なりを見渡せる美里の開放的なこの場所で、ひなたぼっこをしませんか?」というコンセプトで、adc.建築デザインセンターのコンペで一等賞を取った計画です。



 アトリエは奥さんの夢で、クラフト教室やパッチワーク教室が開かれ、アンティークショップ・ジョンブルで、自ら購入されたステンドグラスやアンティーク家具を設置、奥さんの要望が随所に反映された空間になっています。

 また、アトリエの床塗りや壁の珪藻土塗りは奥さんと妹さんがDIYで自ら行いました。コストを抑える目的でしたが、「家づくりに参加している楽しさの方が大きかった。」と話されていました。

 アトリエのニッチには奥さんお気に入りの雑貨が並び、丸いガイシスイッチもインターネットで探して購入された物を取付けました。



 壁の珪藻土塗りには熊本デザイン専門学校の生徒達も参加、左官職人さんから指導を受けた後、珪藻土壁塗りに挑戦しました。



 コンペ時のプラン のどかな田園風景の中のこの住宅は、広い敷地面積を利用した「く」の字型のユニークなフォルムが目を引く、個性的な住まいです。

 すぐ裏に川が流れ、せせらぎや鳥のさえずりが聞こえる自然豊かな場所で、そんな周囲の環境に溶け込むようなシンプルなデザインと、自然な素材感が出るよう意識しました。



▲子供達からお年寄りまで憩いの場となっている浜戸川。

 「く」の字型の独特なフォルムは、アトリエスペースとパブリックスペースを緩やかに分けています。 アーチ型の出入り口をくぐり玄関・アトリエに続く台所には、オリジナルのタイル張りキッチンを設置。冷蔵庫が食堂から見えないように壁をつくり、正面の窓からはアトリエの様子がひと目で分かります。



 この住宅は熊本県産材プレゼントを利用して建てられ、それ以外の木材も全て県産材を使用しています。

 根太を用いず厚い床材を使用したり、特徴的な15センチ角の木造トラス構造の梁は、途中に柱を入れなくても強度を落とすことなく長いスパンを取れ、室内に“表情”を与えています。



「く」の字型のちょうど折れた場所に位置する和室は、その位置を利用し床の間や収納を設け、一段上がりの段差部分は引き出し収納になっています。

 以前から所有されていたテーブルに合わせて畳を掘り込み、テーブルをどかした時には畳で蓋が出来るようになっています。

 広めに取った廊下スペースには2階へ続く階段があり、作りつけの板や棚を設けて家族共有の空間になります。廊下を進むと洗面所や浴室、ウォークインクローゼットに続いています。



 1階の旦那さんの寝室兼書斎は、パイン集成材で作りつけの机や棚、間接照明が設置されています。



               

 浴室にもこだわりのステンドグラスやガラスブロックが設置されています。

 洗面所にもニッチが設けられ、脱衣所などの扉にも奥さんが購入されたステンドグラスを取り付けています。    


 2階子供部屋はロフト風のつくりになっていて、押入れで寝るのが好きなお子さんの要望で、押入れを感じさせる作りつけベッドを設けました。

 子供部屋は完全に仕切らず、解放窓などにより気配を感じられるようになっています。ここにも奥さんの照明器具が設置されました。子供部屋には月見窓も設けられ、部屋に居ながら季節を感じる事が出来ます。






美里の家 施工方式

 

5社による競争入札で守平建設さんと一括工事発注契約を結び、キッチンや家具、ステンドグラス・照明器具などを分離発注しました。

キッチンはフランス製のロジェールキッチンで、コンロとオーブンが一体となったフリースタンディング型です。 アンティーク家具やステンドグラス・ガラスブロック・照明器具は、アンティークショップ「ジョンブル」で、丸型のスイッチプレート等はインターネットで施主が購入されました。

また、DIYでは、床塗装や壁の珪藻土塗りを当研究所と奥さんと妹さんで行いました。珪藻土塗りには、熊本デザイン専門学校の生徒達も体験参加しました。カーテンなどは、クラフト教室を営む奥さんが自ら作り上げて行かれました。






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